事業基本方針
令和8年度 事業基本方針
自 令和8年4月 1日
至 令和9年3月31日
~会員と共に、地域の未来を拓く変革と成長の年に~
国際情勢は、米国政治の動向、特に保護貿易主義的な政策が世界経済に与える影響が最大の懸念材料であります。トランプ政権による世界的なサプライチェーンの分断や貿易摩擦の激化が予想され、地域の中小輸出企業にも深刻な影響を及ぼしかねません。中津川地域においても、関連部品を供給する製造業を中心に、急激な受注減やコスト増のリスクが顕在化する可能性があります。商工会議所としても最新の国際情勢を迅速に会員に情報提供し、取引先の多様化や国内市場の深耕といったリスク分散を支援していく必要があります。
日本情勢は、物価高・賃上げ・人手不足の同時進行に加え、ロシアのウクライナ侵攻などに起因する原材料高騰やエネルギー価格の上昇による物価高は依然として継続し、事業者の経営を圧迫しています。同時に全業種で人手不足が深刻化する中、最低賃金の引き上げ圧力が強まり、持続的な賃上げが地域の中小企業にとって喫緊の課題となります。
昨年10月に発足した高市内閣では、21兆円規模の経済対策や17項目の重点事業を通じて、デフレマインドの完全払拭と成長型経済への転換を目指しています。特に本年6月に策定予定の「中小企業・小規模事業者の賃金向上推進5か年計画」に基づき、生産性向上への官民投資の推進、省力化補助金、IT導入補助金等を活用した賃上げ支援が強力に推進されます。また、人口減少という構造的な課題に対応するため、働き方改革による多様な人材の活用と並行し、高市政権による外国人材の受け入れ拡大に向けた対策も進められています。
当所としてはこのような中で、「会員と共に、地域の未来を拓く変革と成長の年に」を基本理念とし、国内外の激変する経済環境に対応すべく、会員事業者への「自己変革」「稼ぐ力の強化」を強力に支援していきます。日本商工会議所が示す「地域経済の好循環による再活性化」を踏まえ、以下の5つの柱で事業を進めてまいります。
1. 人手不足対策と働き方改革の推進
構造的な人手不足に対し、当所はDXによる業務効率化と多様な人材の活用を強力に支援していきます。多様な人材確保支援として、外国人材受け入れに関する相談窓口を強化し複雑化する在留資格や受け入れ手続きについて、専門家と連携して対応していきます。特定技能制度に関する最新かつ正確な情報提供や、事業者が安心して外国人材を受け入れ、活用できる環境を整備してまいります。
女性やシニア層が持つ豊富な経験やスキルを最大限に活かすための、企業内でのキャリアパス構築や、セカンドキャリア支援なども含め、多様な人材が活躍できる職場づくりを後押ししていきます。
働き方改革の推進として、生産性向上と従業員の満足度向上の観点から魅力的な職場環境の整備を支援していきます。働き方改革に対応した就業規則の見直しや福利厚生制度導入の支援では法改正に対応した就業規則の見直し、柔軟な勤務形態導入の専門家による個別支援、各事業所に最適な福利厚生制度の伴走型支援等、企業価値の向上と人材定着を推進していきます。
2. DX活用による生産性向上支援
円安、コスト増、深刻な人手不足といった課題を克服するための、「稼ぐ力」の源泉として、DX活用の伴走型支援を強力に推進していきます。
伴走型DX経営支援の強化としては、経営支援員や専門家による個別の支援体制を強力に推進し、中小企業省力化投資補助金やIT導入補助金の活用を促進、クラウド会計の導入、キャッシュレス化、省力化投資、新事業・新分野への進出等を強力にバックアップしていきます。
デジタル人材の育成と活用分野では生成AI活用セミナーやデジタルツール体験会などを通じ、事業者のデジタル化を後押ししていきます。当所の事務体制のDXも推進することで、その過程や情報を公開し会員企業のデジタル化の推進の羅針盤となるように取り組みます。あわせて、支援にあたる職員自身のITリテラシー向上も図り、より高度なDX支援が可能な体制を整えてまいります。生産性向上への取り組みとして、適切な価格転嫁を商習慣化させるなど、公正な取引環境を整備することで、民間活力を最大限に引き出すビジネス環境の構築を目指していきます。
3.リニア開業を見据えた地域活性化(魅力づくりと基盤整備)
人口減少に直面する中、「地域の経済環境」を強く、太くする取り組みは不可欠です。リニア中央新幹線開業により生まれる「東京から50分、名古屋から15分」の圧倒的な時間的メリットによる交流人口の拡大と定住人口の増加を行政と連携して強力に推進していきます。
地域ブランドの創出と資源の磨き上げとして岐阜県リニア活用戦略と緊密に連携し、東美濃45万人圏域をベースとする広域的なまちづくりの推進に加え、中津川市が掲げる「WONDERFUL WOODs(ワンダフルウッズ)」森と自然のコンセプトに基づいた魅力づくりの推進と併せ、豊かな自然や独自の地域資源を磨き上げ、高付加価値な地域ブランドを確立することで、選ばれる街としての発信力を強化していきます。
民間起点のまちづくりと社会資本整備としては、官民連携による市街地再開発や都市機能を呼び込む社会資本整備を促進し、民間活力を導入した拠点整備を支援していきます。空き店舗対策や起業家支援も連動させ、街全体に賑わいをもたらす構造を推進していきます。
定住・関係人口の増加策では移住・定住希望者への戦略的な情報提供に加え、地域事業者と連携した「お試し居住」プログラム等の企画・支援を市と協力して行い、中津川での新たな挑戦を後押ししていきます。
4.観光振興とおもてなし、インバウンド受け入れ強化
中津川を目的地として選んでもらうため、地域の「稼ぐ産業」としての観光業を育成していきます。高付加価値を軸とした観光地域づくりを進め、地域経済に資する仕組みを強化していきます。
広域観光連携によるルート開発として岐阜県のリニア活用戦略を基軸に、東濃地域一体、近隣自治体との連携を深め、滞在型・回遊型観光を促進することで、地域全体のおもてなし強化を目指していきます。インバウンド対応と体験型コンテンツの拡充として多言語対応の整備支援に加え、中津川ならではの歴史・文化・特産品を活かした「体験型・高付加価値コンテンツ」の開発を支援していきます。
おもてなしの心と地域発信力の向上として地域住民を巻き込んだ魅力発信イベントを開催していきます。市民一人ひとりが地域の魅力を再認識し、総出で来訪者を迎える「おもてなし文化」を醸成することで、リピーターの促進を図ってまいります。
複雑化する地域課題に対応し、商工会議所への期待に応えるため、組織基盤の拡充と支援体制の強化を図ります。
創業・事業承継支援の徹底としては中津川で挑戦する事業者を増やし、地域経済の担い手を確保するため、創業セミナーの開催や岐阜県事業承継・引継ぎ支援センターと連携したM&A支援を強力に推進していきます。
また、組織力と政策提言機能の向上として職員のスキルアップにより、会員や地域に貢献できる組織体制を構築していきます。地域の声を行政に届ける政策提言機能を向上させることにより実効性の高い経済対策を目指していきます。
財政基盤の強化と組織の永続性として会員数1,800以上の維持を目標に新規会員の獲得に取り組みます。また、事業の効率化を推進し、健全かつ強固な財政基盤を確立していきます。複雑化する地域課題に対応し、商工会議所への期待に応えるため、組織基盤の拡充と支援体制の徹底を図ります。
結びに、中津川商工会議所は、これらの事業を力強く推進し、変化を恐れず挑戦する会員事業者の皆様と共に、持続的に成長する中津川地域経済の未来を創造してまいります。
以下に令和8年度の重点事業を示します。
令和8年度 重 点 事 業
1.人手不足対策と働き方改革の推進
- 経営改善普及事業と経営発達支援計画に沿った伴走型経営支援の両立
- 中小・小規模企業への補助金申請、事業計画策定・実行支援、事業再構築支援
- 持続的な賃上げの原資確保に向けた支援
- 外国人材受入れに関するワンストップ相談窓口の拡充と専門家派遣
- 特定技能制度の法改正や手続きに関する実務者向け最新セミナーの開催
- 従業員エンゲージメントを高める福利厚生制度の設計・伴走型支援
- 「働き方改革関連助成金」の申請書類作成および活用支援
- 育児・介護休業取得を促進する職場環境づくりのための意識改革研修
- 生産性向上に成功した市内企業の事例共有会と異業種間ネットワーク構築
2.DX活用による生産性向上支援
- DX・ITツール導入による省力化・業務効率化の個別コンサルティング支援
- 経営支援員による巡回・窓口相談でのDX・AI活用支援、個別伴走型支援の実施
- 補助金を活用したロボット・IoT・DXの活用支援
- キャッシュレス決済やPOSレジ導入による店舗運営の効率化とデータ活用支援
- 即戦力となる「生成AI」の実践的な業務活用やセミナーの開催
- 商工会議所内のDXに関するプロセス(ペーパーレス等)の公開・先行事例化
- 日商が推奨するDXアプリの事例紹介や導入支援
- サイバーセキュリティー対策の普及啓発とBCP(事業継続計画)策定支援
- 「稼ぐ力」を強化するための新事業・新分野進出へのデジタル戦略支援
- 市内企業のDX成功事例の会員企業へ共有・横展開による情報の共有化
3.リニア開業を見据えた地域活性化(魅力づくりと基盤整備)
- 空飛ぶ車など近未来モビリティーやMaaSなどの二次交通システムの研究と提言
- 中津川市の総合計画WONDERFUL WOODs(ワンダフルウッズ)をテーマとした高付加価値な体験型観光商品の開発
- リニア開業による時間短縮を活かした「ビジネス客・観光客」誘致支援
- インバウンド(訪日外国人)対応のためのキャッシュレス化・多言語化支援
- 岐阜県リニア活用戦略と連動した、広域観光ルートの開拓とPR活動
- リニア関係組織・沿線商工会議所等との連携強化
- 空き店舗を活用したリノベーションまちづくりと新規出店者への伴走支援
- 中津川での起業・第二創業者向けの「創業セミナー」の開催
- 「お試し居住」利用者を対象とした、地元事業者との交流イベントの実施
- 政府のデジタル田園都市構想を見据えた地方創生の研究と提言
4.観光振興とおもてなし、インバウンド受け入れ強化
- ミユージアム構想としての地元の偉人による魅力発信と美術館再建に向けた市民意識の醸成と推進事業(研究と提言)
- 前田青邨記念大賞・熊谷守一大賞作品等を活用した街かど美術館事業などの実施
- リニア開業を見据え東美濃45万人をベースとした広域的な街づくりの連携
- 地域の歴史資産や伝統工芸を活用した、単価の高い「特別体験プログラム」の造成
- インバウンド客の消費額向上を狙ったキャッシュレス決済促進
- 地域住民が地元の魅力を再発見する「マイクロツーリズム」体験会の実施
- 観光客の動態データを収集・分析し、地域事業者へフィードバックする仕組みの構築
- 苗木城築城500年記念イベントへの協力・支援
5.経営基盤強化と創業・事業承継支援
- 相談しやすく会員にやさしい、また来たくなる事務局体制づくり
- 創業希望者の夢を形にする「中津川創業セミナー」の開催と個別計画策定支援
- 岐阜県事業承継・引継ぎ支援センターと連携した、親族内・第三者承継の早期支援
- M&A(事業引継ぎ・跡継ぎ創業)を検討する事業者への専門家派遣とマッチング機会の提供
- メールマガジン・SNS等の有効活用による迅速な情報伝達
- 地域の声を吸い上げ、自治体へ実効性の高い経済施策を届ける政策提言活動
- 会員数1,800事業所以上の維持・拡大に向けた活動
- 経営の安定化を図るための「マル経融資」等の資金繰り相談・斡旋の強化
- SDGs(持続可能な開発目標)経営の実現に向けた中小企業の取組み支援
- BCP(事業継続計画)・BCM(事業継続マネジメント)構築に向けた取組み支援
- 健康経営の推進による企業価値向上等に向けた取組み支援
- コンプライアンス遵守とリスク管理を徹底した、健全かつ強固な組織ガバナンスの構築
- 職員の専門知識向上、スキルアップによる支援強化