事業基本方針
令和7年度 事業基本方針
自 令和7年4月 1日
至 令和8年3月31日
~会員の期待に応えられる支援体制の強化~
日本経済は、アフターコロナで緩やかに景気回復しているものの、中小企業では深刻な人手不足に加え、原材料・エネルギーコストの高騰や円安を背景とする物価上昇により収益が圧迫される中、中小企業に対する賃上げ圧力が高まっています。日本商工会議所の調査では、賃上げを実施した中小企業は全体に6割を超えるものの、そのうちの6割超が、人材確保を目的とした業務改善の伴わない「防衛的な賃上げ」を余儀なくされるなど、継続的な成長と分配の実現に向け、大きな課題に直面しています。
こうした課題に対応していくためには、引き続き、賃上げの原資確保に向けた取引価格の適正化とともに、中小企業においても自己変革による「稼ぐ力」の向上と持続的な成長に向けた取り組みを推進し、人手不足に打ち克つ経済の好循環を作り出すことが不可欠です。
昨年11月に政府は、「国民の安心・安全と持続的な成長に向けた総合経済対策」を閣議決定し、3つの柱が示されました。
Ⅰ.全ての世代の現在・将来の賃金・所得を増やす。「日本経済・地方経済の成長」
Ⅱ.誰一人取り残されない成長型経済への移行に道筋をつける。「物価高の克服」
Ⅲ.成長型経済への移行の礎を築く「国民の安心・安全の確保」
この経済対策の速やかな執行により、物価高に苦しむ生活者・事業者に対し、効果的な成果が期待されるところであります。
商工会議所の方向性としては、「中小企業の自己変革」「地域経済の好循環を生み出す魅力づくり」の大きく2点と言われています。「民間の挑戦を支える成長基盤整備」として、「取引適正化の徹底」「エネルギー安定供給」「潜在成長戦略を底上げする実行力」が必要となります。政府には、デジタル化による生産性の向上、事業再構築、収益力回復や事業再生・再チャレンジ、事業継承、創業支援など中小企業が持つ自己変革力を最大限発揮できるような規制改革や民間投資を呼び込む環境整備に期待したいところです。
本年度は、第3期中期行動計画(2024年度~2027年度)に基づき、「会員企業の期待に応えられる支援体制の強化」を最重点テーマに、行政の経済対策を求めるだけでなく、組織・財政基盤の強化を図るとともに身近で親しみやすい商工会議所として会員支援を行って参ります。
具体的な取組みとして
1)中小・小規模企業の自己変革と持続的成長に向けた支援強化
人手不足対策が急務となる中、将来の賃金・所得を増やす地方経済の成長として、人への投資、中小企業の稼ぐ力や地方経済の潜在能力を引き出す国内投資の推進が必要とされています。
それらに対応するため、賃上げに加え、エネルギー・原材料費の高騰によるコストの負担増等の厳しい労働環境・経営環境の是正に向け、創業者の育成並びに円滑な事業継承のための支援、人材確保のための支援、女性・高齢者・障がい者・外国人労働者など多様な労働力の確保への支援。また、中小企業のイノベーション創出・成長支援として、技術革新に対応したDX、AI,IoTの活用による業務の効率化等の支援、スタートアップ・事業再構築などの成長支援、取引適正化の推進拡大や価格転嫁等に対する支援も引き続き行ってまいります。
更に、中心市街地の活性化策として、飲食・小売業などサービス産業への活性化支援、事業継承のための後継者支援、ネットワークの活用など販売力向上支援に加え、中心市街地活性化などへの集客・イベント開催支援を行ってまいります。
2)広域連携の推進
岐阜県が策定した「岐阜県リニア中央新幹線活用戦略」で示す街づくりに掲げる、「住みたくなる岐阜県」に向けたデジタル森林都市構想の推進、地域特有の観光資源のブラッシュアップと滞在型観光の造成と、リニア総合車両基地の産業観光化への要望及び提案を行ってまいります。
その他、東美濃6市商工会議所で組織する「ツーリズム東美濃協議会」での特産品販売促進や、45万人圏域を活用できる本社機能等の誘致、若者の定住化を促す施策の要望、地域のアイデンティティを盛り込んだ広域観光の推進。更に近く完成する神坂スマートインターを活かした、下呂・飛騨方面及び木曽地域を巻き込んだ広域観光の推進を行ってまいります。
3)地域振興・地域活性化の推進
リニア停車駅開業に向けての、中心市街地の魅力づくりとして、小栗市政の掲げる「シン・宿場町計画」と連携した、中津川・落合・馬籠の3宿の観光資源の磨き上げに加え、中津川にかかわりのある前田青邨、熊谷守一、東山魁夷、島崎藤村などの歴史的偉人に加え、村上康成、伊藤潤二など近年、世界的に活躍する作家などの魅力発信や市内を回遊できる中山道ミュージアムの整備と、人口減少も見据えた商工業、定住策など都市機能の再編、市街地でのインバウンドに楽しみを実感できる国際感覚の街づくりの推進に努めてまいります。
その他、各地域の自然環境や食文化を活かし、地域毎に持続可能な地域型のコンパクトシティー(各地域の中心部に居住地や都市機能を集積させ、それぞれの地域が特色ある活性化の推進と住民の利便性を向上させる)による都市機能の推進や、リニア開業を見据え、旧市街地の魅力を発信できる滞在型の街づくりに向けての要望を行ってまいります。
4)組織強化と財政基盤強化
会員企業の期待に応えられる支援体制を目標に、親しみやすく、頼りがいのある商工会議所として、第3期中期行動計画を(2024年度~2027年度)を柱に部会・委員会・特別委員会の活性化に努めてまいります。
また、会員確保に向けても1,900会員加入を目標に、会員ニーズに応えるための支援体制の充実と、それを継続できる財政基盤と組織力の充実強化に努めてまいります。
第3期中期行動計画に掲げた、リニア時代にふさわしい商工会議所を目指して、会員企業の期待に応えられる支援体制の強化により、成長を実感できる中津川づくりを目標に、これまで以上のスピード感を持ち、変化に対応できる商工会議所として、会員サービスの向上とリニア停車駅にふさわしい街づくり・地域づくりに、役職員・会員が一丸となって取り組んでまいります。
令和7年度 重点事業
1.中小・小規模企業の自己変革と持続的成長に向けた支援強化
>人手不足や物価高高騰に伴うコスト負担増への対応支援
- 深刻化する人手不足・物価高騰なども含めた経営環境の変化への対応支援
- 労務費の価格転嫁や取引価格適正化の推進に向けた支援
- 経営発達支援計画 に沿った伴走型経営支援
- 中小・小規模企業への補助金申請、事業計画策定支援、事業再構築支援
- 中小企業等の経営力向上と持続的成長、円滑な事業承継に対する支援
- 地域経済の担い手を創出する創業支援体制の強化
>中小企業の自己変革に向けた対応支援
- 自己変革に挑戦する中小企業への経営力再構築伴走支援の推進
- 中小企業等の構造改革・ビジネスモデルの転換・生産性向上に向けた対応支援
- 中小企業のデジタル化による生産性向上など社会・経済変化への対応支援
- 女性・外国人材・高齢者等の多様な人材が活躍できる環境整備に向けた対応支援
- 小規模企業の資金繰り・収益力向上・生産性向上に向けた対応支援
>近未来の経営環境に対する取り組みの支援など
- DXの推進により、AI・IoTなど中小企業のデジタル化に向けた取組み支援
- 2050年カーボンニュートラルに向けた中小企業の取組み支援
- SDGs(持続可能な開発目標)経営の実現に向けた中小企業の取組み支援
- BCP(事業継続計画)・BCM(事業継続マネジメント)構築に向けた取組み支援
- 健康経営の推進による企業価値向上等に向けた取組み支援
2.広域連携の推進
>東美濃6市をはじめ、下呂・木曽地域などとの広域連携の推進
- リニアメリットを生かした地域構想(教育・医療・産業支援等)の研究と提言
- ツーリズム東美濃協議会を中心とした広域観光地域づくりの推進
- リニア関係組織・沿線商工会議所等との連携強化
>観光資源開発と誘客促進
- 中山道を活かした観光開発と誘客のための事業推進
- 地域資源のブランディング(本物磨き)戦略の展開に向けた研究と提言
>他地域との差別化を図るための中津川の魅力づくり
- リニア活用推進委員会を中心としたリニア関連情報の収集と発信
- リニア効果を活かした街づくりに向けた研究と提言
- 空飛ぶ車など近未来モビリティやMaaSなどの二次交通システムの研究と提言
- 政府のデジタル田園都市構想を見据えた地方創生の研究と提言
3.地域振興・地域活性化の推進【リニア停車駅にふさわしいまちづくり】
>中心市街地活性化
- 中心市街地まちづくり計画(シン宿場町計画・歴史文化を視点にしたウォーカブルシティ構想など)への提言
- 中山道文化の磨き上げや空き店舗の活用などによる中心市街地の魅力づくり
- まちづくり会社の活動強化と商店街支援
- 中心市街地と中津川駅前の一体的発展に向けた研究と提言
- リニア開業に向けた地域の特色を活かした特産品・新商品の開発と販路開拓支援
>地域の伝統行事・まつりの保存育成と支援
- おいでん祭、十日市、六斎市、中山道まつり等のイベント事業への参画と協力
- 式年遷宮に関連した「御神木祭」と、来年築城500年を迎える「苗木城跡」での関連事業への参画と協力
- 中津川観光協会との連携による事業推進
- 伝統的な地域資源等を活用したまちづくりの推進
- 地歌舞伎や郷土芸能などの文化的活動への支援と協力
>郷土の生んだ偉人の功績の顕彰と後世への伝承
- 前田青邨の魅力発信と美術館再建に向けた市民意識の醸成と推進事業(研究と提言)
- 前田青邨記念大賞・熊谷守一大賞作品等を活用した街かど美術館事業などの実施
- 中山道ミュージアムプロジェクト構想実現に向けた研究と提言
>本物・注目度を活かしクオリティーを高めるまちづくり
- 中津川ブランディング(歴史・文化・芸術・食等の宝磨き)戦略の展開
- インバウンドをはじめとする観光客等への「おもてなし」のできる環境整備の支援
- リニア岐阜県駅(仮称)周辺の都市機能充実のための提言
- 利用しやすく、近未来の交通機能も兼ね備えた基盤整備の研究と提言
- リニア総合車両基地・リニアの見える丘公園などを活用した産業観光の研究と提言
- 魅力ある居住環境の整備に向けた研究と提言(医療・教育・住宅団地等)
- 定住対策など民間活用を推進するための規制制度改革への提言
4.組織力強化と財政基盤強化
>当所役員議員改選の円滑な実施
- 本年10月31日での現在の3年任期の満了に伴うその選任作業の円滑な実施
>会員の拡大と組織率の向上
- 会員増強、確保(目標1,900会員維持)に向けた取り組み
>部会・委員会活動の活性化
- 部会・委員会活動を通じた会員ニーズの把握・意見集約と要望活動の実施
>組織財政基盤の強化
- 商工会議所の組織強化と会員の経営リスクを担保する各種保険制度等の一層の普及推進
>会員ニーズの把握・意見集約と情報発信力の強化等
- 月刊広報等による商工会議所活動の周知
- WEBやSNS等の有効活用による迅速な情報伝達
- デジタル社会に即応した情報発信力の強化
- 商工会議所活動の一般市民に向けた広報活動の強化
>デジタル化・DXの取り組み推進
- 会員企業等・商工会議所双方にとって価値向上・生産性向上につながる、商工会議所のデジタル化・DXの取り組み推進
>変化に対応できる職員の人材育成等
- 高度化する経営支援業務や新しい会員ニーズ・日々変化する社会環境に対応できる人材育成と支援体制づくり
- 相談しやすく会員にやさしい、明るく開かれた事務局体制づくり
- 商工会議所内での健康経営の実施をはじめとする安心して働きやすい職場環境づくりに向けた取り組み