事業基本方針
令和6年度 事業基本方針
自 令和6年4月 1日
至 令和7年3月31日
~成長が実感できる中津川の未来を築く~
世界では、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化に加え、中台間の緊張、イスラエルとパレスチナ武装勢力間の衝突も深刻化するなど地政学リスクが増大し、国内では、コロナ禍の3年間を乗り越え、景気は改善しつつあるものの、1ドル150円前後の円安に加え、消費者物価・エネルギー価格の高騰、深刻さを増す人手不足など依然と厳しい状況にあります。社会経済活動の正常化が加速したことで、設備投資意欲が顕在化し、高い賃上げの実施や日経平均株価の史上初の4万円越えなど時代の転換が萌芽し、デフレ経済からの完全脱却、成長と分配による好循環を実現する気配を感じています。
昨年11月に政府は、「新しい資本主義」の実現に向けた経済対策として、変革を力強く進める「供給力の強化」、不安定な足元を固め、物価高を乗り越える「国民への還元」の2つを軸に次の5つの柱が閣議決定されました。
Ⅰ.物価高から国民生活を守る
Ⅱ.地方・中堅・中小企業を含めた持続的賃上げ、所得向上と地方の成長の実現
Ⅲ.成長力の強化・高度化に資する国内投資を促進
Ⅳ.人口減少を乗り越え、変化を力にする社会変革を起動・推進
Ⅴ.国土強靭化、防災・減災など国民の安全・安心を確保
本経済対策の速やかな執行により、物価高に苦しむ生活者・事業者に対し、一刻も早い支援を行うとの方針が示されました。
商工会議所としても新型コロナで停滞した3年間を取り戻すため、「経済復興と再興」を最重点テーマに、行政の経済対策を求めるだけでなく、「停滞」から「成長」へマインドを切り替えるとともに、時代の変化を的確に捉え、自己変革に挑戦していく必要があります。
具体的な取組みとして、、、
1)中小・小規模企業の自己変革と持続的成長に向けた支援強化
直面するコスト負担増、人手不足等の厳しい経営環境に対応するため、価格転嫁の円滑化・取引適正化の推進に加え、資金繰り、創業・事業継承のほか、デジタル化による生産性向上や経営力再構築への対応支援に取り組む。また、環境変化に挑戦する中小企業・小規模事業者の成長支援として、グリーントランスフォーメーション対応、研究開発などへの対応支援。更に、事業継承を通じた変革の推進として、後継者支援ネットワークの活用や生産性改革への対応支援。社会課題への取り組みに対する支援として、エコシステム構築への支援、中心市街地活性化、商店街支援を行ってまいります。
2)広域連携の推進
歴史・文化と産業観光による国際観光の拡大を目指し、木曽・飛騨・三河と繋がり、交通の要衝として栄えた街道文化の磨き上げ、文化・伝統芸能としての地歌舞伎など歴史文化の継承・磨き上げなどにも取り組みます。更に、東美濃6市商工会議所を中心に組織する「ツーリズム東美濃」での、東美濃地域の特産品の販売促進に加え、地域のアイデンティティーを盛り込んだ広域観光の推進を行ってまいります。
3)地域振興・地域活性化の推進
リニア停車駅にふさわしい街づくりの推進として、中心市街地活性化基本計画に基づく、滞在型のまちづくりや魅力ある買い物環境づくりが不可欠となります。近年のインバウンド観光客の増加に鑑み、観光客の皆さんが滞在しやすい導線表示や安心して利用できる飲食店の紹介など「おもてなし」のできる国際観光都市づくり。また、前田青邨等中津川の偉人の魅力発信や美術館再建に向けた取り組み、栗きんとんに代表される食文化、付知峡や恵那山などの満喫できる自然環境など一級品の観光資源を磨き上げなど、各々のポテンシャルを高めるための「地域ブランド」の創出。更に、リニアを活かした街づくりの推進として、リニア駅周辺のまちづくり、リニアと市域全体をつなぐ森のまちづくり、企業誘致・移住定住の推進の提言を行ってまいります。
4)組織強化と財政基盤強化
会員サービス・支援充実のため、職員の人材育成による支援体制づくりと、情報発信力の強化に取り組むほか、今年度、中津川商工会議所ビジョン「第3期中期行動計画」(2024年度から2026年度)の計画策定を行い、部会・委員会・特別委員会の更なる活性化と、会員ニーズの把握、意見集約など具現化できる環境づくりにも努めてまいります。
成長を実感できる中津川づくりに向け、これまで以上のスピード感を持ち、変化に対応できる商工会議所として、会員サービスの向上とリニア停車駅にふさわしい街づくり・地域づくりに、役職員・会員が一丸となって取り組んでまいります。
令和6年度 重点事業
1.中小・小規模企業の自己変革と持続的成長に向けた支援強化
>コロナ禍克服や物価高騰に伴うコスト負担増への対応支援
- コロナショックの影響を受けた事業者への事業継続・再起に向けた支援強化
- 深刻化する人手不足・物価高騰なども含めた経営環境の変化への対応支援
- 労務費を含む価格転嫁の円滑化と取引価格適正化の推進
- 経営改善普及事業と経営発達支援計画に沿った伴走型経営支援の両立
- 中小・小規模企業への補助金申請、事業計画策定・実行支援、事業再構築支援
- 中小企業等の経営力向上と持続的成長、円滑な事業承継に対する支援
- 地域経済の担い手を創出する創業支援体制の強化
>ビヨンドコロナでの中小企業の自己変革への対応支援
- 自己変革に挑戦する中小企業への経営力再構築伴走支援の推進
- 中小企業等の構造改革・ビジネスモデルの転換・生産性向上支援
- 中小企業のデジタル化による生産性向上など社会・経済変化への対応支援
- 女性・外国人材・高齢者等の多様な人材の活躍と働き方改革への対応推進
- 小規模企業の資金繰り・収益力向上・事業再構築支援
>近未来の経営環境に対する取り組みの支援など
- DXの推進により、AI・IoTなど中小企業のデジタル化に向けた取組み支援
- 2050年カーボンニュートラルに向けた中小企業の取組み支援
- SDGs(持続可能な開発目標)経営の実現に向けた中小企業の取組み支援
- BCP(事業継続計画)・BCM(事業継続マネジメント)構築に向けた取組み支援
- 健康経営の推進による企業価値向上等に向けた取組み支援
2.広域連携の推進
>東美濃6市をはじめ、下呂・木曽地域などとの広域連携の推進
- リニアメリットを生かした地域構想(教育・医療・産業支援等)の研究と提言
- ツーリズム東美濃協議会を中心とした広域観光地域づくりの推進
- リニア関係組織・沿線商工会議所等との連携強化
>観光資源開発と誘客促進
- 中山道を活かした観光開発と誘客のための事業推進
- 地域資源のブランディング(本物磨き)と地域団体商標等の活用
>他地域との差別化を図るための中津川の魅力づくり
- リニア活用推進委員会を中心としたリニア関連情報の収集と発信
- リニア効果を活かした街づくりに向けた研究と提言
- 空飛ぶ車など近未来モビリティーやMaaSなどの二次交通システムの研究と提言
- 政府のデジタル田園都市構想を見据えた地方創生の研究と提言
3.地域振興・地域活性化の推進【リニア停車駅にふさわしいまちづくり】
>中心市街地活性化
- 第2期中心市街地活性化基本計画に沿った事業の推進及び次期計画づくりへの提言
- まちづくり会社の活動強化と商店街支援
- 中心市街地と中津川駅前の一体的発展に向けた研究と提言
- リニア開業に向けた地域の特色を活かした特産品・新商品の開発と販路開拓支援
>地域の伝統行事・まつりの保存育成と支援
- おいでん祭、十日市、六斎市、中山道まつり等のイベント事業への参画と協力
- 中津川観光協会との連携による事業推進
- 伝統的な資源を活用したまちづくりの推進
- 地歌舞伎や郷土芸能などの文化的活動への支援と協力
>郷土の生んだ偉人の功績の顕彰と後世への伝承
- 前田青邨の魅力発信と美術館再建に向けた市民意識の醸成と推進事業(研究と提言)
- 前田青邨記念大賞・熊谷守一大賞作品等を活用した街かど美術館事業などの実施
>本物・注目度を活かしクオリティーを高めるまちづくり
- 中津川ブランディング(歴史・文化・芸術・食等の宝磨き)戦略の展開
- インバウンドをはじめとする観光客等への「おもてなし」のできる国際観光都市づくり
- リニア岐阜県駅(仮称)周辺の都市機能充実のための提言
- 利用しやすく、近未来の交通機能も兼ね備えた基盤整備の研究と提言
- リニア車両基地・リニアの見える丘公園などを活用した産業観光の研究と提言
- 魅力ある居住環境の整備に向けた研究と提言(医療・教育・住宅団地等)
- 定住対策など民間活用を推進するための規制制度改革への提言
4.組織力強化と財政基盤強化
>会員の拡大と組織率の向上
- 会員増強、確保(目標1,800会員維持)に向けた取り組み
>部会・委員会活動の活性化
- 部会・委員会活動を通じた会員ニーズの把握・意見集約と要望活動の実施
>組織財政基盤の強化
- 商工会議所の組織強化と、各種保険制度等の一層の普及推進
>会員ニーズの把握・意見集約と情報発信力の強化等
- 月刊広報やホームページによる商工会議所活動の周知
- メールマガジン・SNS等の有効活用による迅速な情報伝達
- デジタル社会に即応した情報発信力の強化と適切なメニューの提供
- 商工会議所活動の一般市民に向けた広報活動の強化
>変化に対応できる職員の人材育成等
- 新しい会員ニーズや日々変化する社会環境に対応できる人材育成と支援体制づくり
- 相談しやすく会員にやさしい、また来たくなる事務局体制づくり
- 商工会議所内での健康経営の実施とステップアップの取り組み